令和2年最後の「あいサポーター研修」でした


本日5日は昨年に続き、奈良市ボランティアセンター様が定期開催されている
「ボラかふぇ」12月企画として開催された
『あいサポーター研修』にて講師をさせていただきました。
コロナ禍のため「参加してくださる方がいるだろうか」
と心配しておりましたが、
毎月テーマが変わる「ボラかふぇ」を楽しみに参加されている方、
あいサポーター研修に興味がありお越しくださった方、
当窓口にて今年開催した『障がいがある子と家族のための防災セミナー』
にご参加くださった防災士の方々など、たくさんの方にご参加いただきました。
奈良県では、平成25年より『あいサポーター運動
(様々な障がいの特性、障がいのある方が困っていることや、
必要とされる配慮などを理解して、
障がいのある方に対してちょっとした手助けを実践することにより、
障がいのある方(もない方もみんな)が暮らしやすい地域社会を
実現することを目的とした運動) 』に取り組んでいます。

『あいサポーター研修』とは、この運動を推進するため、
県民の皆さまに日常生活のなかで、
障がいのある方が困っているときなどに、
ちょっとした手助けをする「あいサポーター」
になっていただくことを目的とした研修です。
本日研修の前半は、あいサポートメッセンジャーである当窓口が講師となり、
奈良県版障害理解啓発DVD『シルコトカラ』を観ていただきながら
『あいサポ―ト運動』についてや様々な障がいや
生きづらさについてとその方が困っていること・
その方へのサポートの方法などを学びました。

DVDに登場されている当事者の方、支援者の方が全て県内の方ということで、
皆さまにとても身近に感じていただけたのではないかと思います。
また、奈良県が独自に定めているルール(条例)についても
お話させていただきました。
そして後半からは、障がいや生きづらさをお持ちの
当事者の方三名にご登壇いただき、
普段の生活で困っていることやどんなサポ―トがあれば助かるのか
等を皆でお聴きしました。

生まれつき「視覚障害」のある中野貴太さんからは
日ごろ困っていること(音響信号がないと困る、
信号機の色がよくわからないためぼんやりとした形で車を判断している等)
をお聞きしたほか、実際に白杖や
視覚に障害のある方が実際に使っておられるグッズ
(折りたたみ白杖や時計、単眼鏡等)を見せていただきました。

大人(30歳代)になってから「発達障害」だとわかったという双子の弟、
中野賀充さんからは、もっと早く知っていたら、
という本音や、「コミュニケーションは苦手だが人が嫌いなわけではない、
自分の場合は漠然とした説明だと判断に迷いわかりづらいので
絵や写真などで手順などを説明されるとわかりやすい、
こういう特性だということを理解して優しく接してほしい」
等のお声をお聞かせいただきました。

さらにもう一人、「吃音」という生きづらさをもつ当事者として
ご登壇くださった堤野瑛一さんは、
自分の場合は緊張したり初めての場、電話対応などで吃音が出やすいこと、
思春期から突然吃音の症状が出たこと、
服薬や治療等で完治というのがなかなか難しいこと、
就職活動では面接時に言葉が出ず困ったこと等をお話してくださいました。

中野さんご兄弟には、視覚障がいをお持ちの方の
道での誘導方法の実例も見せていただきました。
どんな風に声掛けをしたらいいのか、
サポートしてくださる方のどこをどのように持たせてもらうと歩きやすいのか、
白杖を持つ手と逆側にサポーターが立つとよいこと、
段差がある時の声掛け方法など、実際に見てみることでとてもよく理解できました。

講座の後半に当事者の方のリアルな声を聞かせていただくことで、
より障がいや生きづらさのある方のことを
身近に感じていただけたのではないかと思います。

会場内では、参加者の皆さんから時折マスク越しに
「へえ~」「そうなんだ・・・」というお声があがったり、
登壇者の方への質問もしていただき、
学習会後も講師や当時者の方にお声かけていただく方もたくさんいらっしゃり、
理解が深まる学習会になったと感じています。2時間があっという間の研修でした。

会場には、家庭や職場、地域で話すきっかけづくりになればと
障がいや生きづらさをテーマにした絵本などの書籍などを置かせていただきました。
休憩時間に皆さん興味深々手にとって見てくださっていました。

障害がある方もない方も、
皆が暮らしやすい奈良をこれから皆で作れたらと当窓口は思っています。

お休みの日の朝からご参加くださった皆様、本当にありがとうございました。
研修後にで皆様からいただいたアンケートを拝見すると
「何回も参加していきたい」
「自分にできることを見つけて実践したい」
「知らなかった色々な大変さを知れた」というお声があり
「お話させていただいてよかった」という思いでいっぱいです。

より良い『あいサポーター研修』ができるよう、
これからも精一杯取り組んでまいります。

最後になりましたが、この研修へのご協力に快諾いただき、
今日のために準備してくださった中野貴太さま、中野賀允さま、堤野瑛一さま、
ご依頼くださった、奈良市ボランティアセンターIさま、Oさま、Kさま、
(奈良市社会福祉協議会さま)、そして講師に推薦してくださった
サポート21・ならの馬郡さま、本当にありがとうございました。
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