映画『37seconds』を観てきました


奈良市猿沢駅のほとりに1920年(大正9年)から1979年(昭和54年)まで存在し、
奈良の人々に親しまれた映画館「尾花劇場」。
(明治時代は「尾花座」という名で演劇等が催されたそうです。
跡地であるホテルサンルート奈良様は今年6月から
「ホテル尾花」に改称されています)
この7月の四連休、4日間限定で「尾花座復活上映会」が開催されています。

こちらで以前から気になっていた映画『37seconds』が上映されていたので観てきました。

生まれた時に、たった37秒息をしていなかったことで、
身体に障害が残った主人公・ユマ。親友の漫画家のゴーストライターとして、
ひっそりと社会に存在している。
そんな彼女と共に暮らす過保護な母は、ユマの世話をすることが唯一の生きがい。
毎日が息苦しく感じ始めたある日。独り立ちをしたいと思う一心で、
自作の漫画を出版社に持ち込むが、女性編集長に
「人生経験が少ない作家に、いい作品は描けない」と一蹴されてしまう。
その瞬間、ユマの中で秘めていた何かが動き始める。
これまでの自分の世界から脱するため、夢と直感だけを信じて、
道を切り開いていくユマ。
その先で彼女を待ち受けていたものとは…(以上映画公式サイトより抜粋)

映画の中で、成長とともに親からの自立の心が芽生える娘と
「ママがいなくちゃ、何もできないでしょう」
という母との喧嘩のシーンの「子ども扱いしないで」
「(何もできないって)ママがやらせてくれないだけじゃない!」
というユマのセリフが印象的でした。

障がいがある方はどうしても周りに支援してもらうことが多かったり、
成長スピードがゆっくりだったりするため、
家族や支援側も無意識に「いつまでも可愛い〇〇ちゃん」
と思い子ども扱いしたり、心配だから、
失敗しないようにと先回りしてお世話をしてしまう傾向にあります。

ユマのそのセリフを聞いたとき、以前、
当窓口の学習会でお話してくださった知的障がいのある女性が
「周りや支援者が(自分を)子どものように扱うのがすごく嫌だ」
と言われたことを思い出しました。

どこのおうちでも親離れ・子離れの問題はあって、
障がいの有無にかかわらず「成長とともに一人の大人として、
人間としてその子に接すること」「子どもの自立をサポートすることも
親の役割の一つだということ」を子育て中の親としても考えさせられました。

映画についてたくさん書きたいことがあるのですが、
ネタバレになってしまうので控えます。

障がいをテーマにしていても、決してお涙ちょうだいものの
ストーリーではなく、一生懸命なユマに、
きっと会場で観ておられた方皆、当窓口同様ハラハラ、
いつの間にか感情移入して応援しておられたんじゃないかなと思います。

一人の女性の自立と成長の物語として、障がいのある方がそばにいる方、
いない方、皆さんに観ていただきたい映画です。

主役で脳性麻痺の障がいがある佳山明さん、
こちらの作品が初出演だそうですが、
体当たりの演技が素晴らしかったです。
映画終了後は、リモートで会場と繋いでHIKARI監督、
出演された神野三鈴さん(母役)、大東駿介さん(介助者俊哉役)が
撮影裏話をお話してくださいました。

この映画を観られて本当に良かった。皆様も機会が有れば是非。

映画『37seconds』公式サイト
http://37seconds.jp/

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