障がい者就労✖︎医療・奈良県立医科大学様にお邪魔しました


先日、障がい者雇用に積極的に取り組まれている
奈良県立医科大学様にお邪魔させていただき、
その就労の現場を見学させていただきました。

奈良県立医科大学様では約3年前から障がい者の方雇用に取り組まれ、
現在知的・精神・発達障がいをもつ31名の方が
それぞれの得意を生かし活躍されています。


病棟ワンフロアごとに担当が決まっているとのこと。
その日退院する方のお部屋や入院される方のお部屋番号を記載した
メモをお渡しし見える化することで、
必要な場所の清掃やベッドメイキングなどを間違えずに行うことができます。

病理科にて。検体を並べる作業。
お一人お一人のカルテの番号と検体の番号が合っているか
確認しながら並べます。集中力が必要とされる作業です。


談話スペースの本棚整理。棚から本を出し中を拭いた後、
本棚には小説やコミックを、棚の上には雑誌等を片付けます。


数名のチームで、院内の談話スペース等1日に20箇所弱を清掃されるそう。
スピードの速い人、ゆっくり目な人、
それぞれが自分に合った作業についており、
清掃がほぼ同じ時間に終わるように工夫されているとのこと。


処方された薬を入れる袋のチャックを一枚ずつ開けてから
また袋にいれて戻します。チャックを一度開けておくことで、
実際に使用するときに、開ける工程を省略でき、
をさっと袋に入れられるそう。

チャックを開けた袋を戻した状態


服薬の注意事項を書いた紙を袋に入るサイズに折っておくお仕事。
まとめて折ったものがあれば、
処方時に一枚ずつ折る必要がなく効率良く作業ができます。
小さなことですが大切なお仕事です。
その他、パソコン入力などのお仕事もされるそう。

ナースステーション内のお仕事。
清拭用タオル保温庫内の部品取り外して清掃中。

トレイを一枚ずつ拭く作業。
このほかマウスピースをすぐ使えるように一つずつセットしておく仕事等、
それぞれの配属先でそこの担当者の方が、
本人に合う仕事を切り出しているとのこと。

婦人科にて。洗浄して乾いた容器類を棚に片付けます。

汚れた容器類を洗浄する機械。洗浄している間に他の仕事をして、
終わったら出して…と段取りを考えながら作業をされているそう。

決められた場所に機器類や備品が整えられている
入院される方を出迎えるベッドメイク。(このベッドメイクもお仕事の一つ)

赤ちゃんの保育器の洗浄のお仕事。部品を分解して、
洗浄機で洗浄したのち乾かしてまた組み立てます。
とても時間がかかる仕事のため1日に2台洗うのが限界だそう。

 

雇用の前には約一カ月にわたる実習を行い、本人のできることと、
病院内での仕事のマッチングを見極めていかれるとのこと。

そうして1人ずつの特性や得意なことを活かせる部署への配属、
作業の分業や工程のマニュアル化(可視化)等の工夫を行うことにより、
今はそれぞれの方が各配属先には欠かせない戦力になられているそうです。
(現在は人手が欲しい病院内の部署の方から障害者雇用推進担当者へ
「誰かいい人いませんか?」という問い合わせがあるほどだなんだとか)

ジョブコーチでもある担当者様のお話の中で、
「(障がいがあるからできないと思いこまず)雇用にあたってはまずその人個人を見て、
できないことを探すのではなく、できること・得意なことを探します」
「とにかくその人を信じることを心がけています」
というお言葉がとても印象的で、
普段実習支援に関わるジョブサポーターとしても勉強になりました。
「その人の得意を見極め、適材適所の配置と工夫をすることで、
障がいがある方も医療現場ででも戦力として生き生きと働ける。」

大学で日々実践されているこうした取り組みを
他の病院(や障がい者雇用を検討中の企業等)にも知ってもらいたいと、
奈良県立医科大学様では、9月に
「医療現場で働く特別支援学校生徒・卒業生たち」
というタイトルでフォーラムを開催されます。

誰でも参加可能だそうですので、ご都合の合う方は是非ご参加ください。
(詳細はのチラシを参照ください。
(主催:奈良県立医科大学・奈良高等養護学校・NPO法人ならチャレンジド))

障がい者雇用の取り組みがここからまた
医療機関や企業等へ広がっていくことを願っています。

最後になりましたが、お忙しい中院内のあちこちの場所へご案内くださった
奈良県立医科大学 障害者雇用推進マネージャーO様、
見学させていただいた部署の皆様本当にありがとうございました。

※お写真は全て許可をいただいて撮影しております。